第四回定例道議会報告

 

2004年12月10日

道議会民主党・道民連合議員会

 

 第四回定例道議会は11月26日(金)に招集され、「真の三位一体改革の実現を求める意見書」、「混合治療の解禁に関する意見書」、16年度補正予算案などを可決、15年度一般会計等決算を不認定とし、12月10日(金)に閉会した。
 わが会派は、代表質問に沖田龍児(苫小牧市)氏を立て、三位一体改革や道財政立て直しプランなどの財政問題、道州制や権限移譲などの地方分権問題、道警不正会計処理・裏金問題などについて質疑を行った。
 また、一般質問には池田隆一(小樽市)、福原賢孝(檜山支庁)、岡田篤(釧路支庁)、斉藤博(函館市)の4氏が立ち、当面する道政課題、地域課題について、道の取り組みを質した。

 

1 主な審議経過について

 可決された16年度補正予算は、一般会計13億8、500万円、特別会計で6億4、000万円の合計20億2、500万円を減額。給与改定の確定に伴うもの。一方で、台風18号の災害対策、静内町への硫酸ピッチ代執行、老人保健医療給付事業費負担金の増額措置などが盛られた。これで、16年度予算規模は、一般会計2兆8、233億8、300万円、特別会計2、544億9,900万円の合計3兆778億820万円となった。
 第三回定例会に提案され、閉会中に審議を行ってきた、15年度決算については、3企業会計は意見を付して認定されたものの、一般会計・特別会計決算については、道警の不正会計処理が15年度中も行われていたことが明らかになったことから不認定になった。
 道の決算が不認定になったのは、昭和63年度(食の祭典疑惑・新長計汚職等)、平成6年度及び7年度(道庁不正経理問題)以来。
 また、条例改正では、バス・トラックへの自動車税の道独自減免措置を廃止する道税条例改正案、寒冷地手当見直し等に伴う職員給与関連条例の改正案などが議決された。
 なお、四定初日の11月26日に、札幌医大事務局長が、前任の石狩支庁長時代の職務に関わる収賄容疑で逮捕された。事件の詳細は捜査中の段階だが、会派は、代表格質問等を通じ、綱紀粛正の徹底、わが会派が提言している「北海道行政公益通報条例」の制定等の不正行為の防止策などを求めた。

 

2 採択された意見書

    (は政審発議、●は自民提案、○は自民・公明提案)

○道警不適正会計処理に関し徹底した全容解明と厳正な処分を求める決議
真の三位一体改革の実現を求める意見書
日歯連疑惑の徹底究明と政治資金規正法改正に関する意見書
所得税等の定率減税に関する意見書
混合診療の解禁に関する意見書
高齢者虐待防止法の制定を求める意見書
まちづくり三法の見直しを求める意見書
「(仮称)元日閉店法」の制定を求める意見書
台湾からの観光客に対する査証免除を求める意見書
●教育基本法の改正を求める意見書
●北朝鮮による拉致問題の早期解決を求める意見書

※ 会派は「北海道警察の不正会計処理問題調査特別委員会設置に関する決議」、「不正会計処理に関し北海道警察本部長の厳正な処分を求める決議」、「イラクからの自衛隊の撤退と国連を主体とした復興支援を求める意見書」、「教育基本法見直しの慎重な対応を求める意見書」を提案したが否決された。

 

3 当面する課題と会派の対応

(1)財政問題について
 財政危機の解決を国は地方自治体に、道は市町村や道民に丸投げ・ツケまわしするかの事態が続いている。
 小泉首相が、政府内での調整を欠落させたまま、地方に「丸投げ」した、国・地方税財政改革、いわゆる「三位一体改革」については、政府・与党の「全体像」が11月末に示されたものの、肝心の税財源移譲の内容や税源偏在の是正方法、地方交付税の総額・算定手法が、まったく不確定で不透明なままで推移している。
 知事は、「全体像」に関して、その内容、地方分権への寄与、小泉首相のリーダーシップなどについて、いずれも不十分との認識は示したが、地方交付税による財源措置については、「地方財政計画規模圧縮に伴う交付税縮減も懸念されるが、総額の安定的確保を求める」と、具体性を欠く答弁に止まった。
 地方財政計画、政府原案と年末の作業の中で、人口割りを基本とする財源移譲などが、道や道内市町村に与える影響が徐々に判明していくものと見られるが、知事が作成の過程で積極的に発言した「地方6団体案」が、省庁につまみ食いされたことによって、地方にとってマイナスに働く懸念すらある。今こそ、道が、市町村や道民の実情をしっかりと把握し、国に対峙していかねばならない。
 一方、道は、今年8月に策定した「財政立て直しプラン」の実施を、新年度から本格化させようとしている。第四回定例会には、バス・トラックに関わる自動車税の道独自の減免措置の廃止が提案された。さらに新年度には、特定疾患治療研究事業(難病対策)の見直し、高校授業料や道営住宅家賃の値上げなどが目白押しだ。
 難病対策の場合は、難治性肝炎や橋本病の患者への支援が大幅に削減されようとしている。患者にとっては、今年度、既にプランの先取りとして実施された医療費助成削減の影響を受ける人も多い。また、道営住宅家賃では、減免対象となっている世帯からも修繕経費等の徴収を行うことが検討されている。道財政再建の必要性の認識は共有しても、道のやり方は、弱い所や取りやすいところに、まず、矛先が向けられていることを、批判せざるを得ない。加えて、難病対策や、バス・トラック税の見直しでは、「国に準拠」という基準が、道単独措置の廃止・削減理由に、安易に使われていることも問題だ。
 バス・トラックに関する自動車税の見直しについて言えば、税法の改正に伴い、道税の減免措置を廃止するもので、道は「ほとんどの都道府県が標準税率を適用している」と主張したが、本道でのバス・トラック輸送への依存度の高さなど特有の事情を切り捨てた。
 会派は、実施時期や段階的な実施などの激変緩和措置、景気状況や石油価格などを見極めての慎重な検討を求めたが、道は、提案に盛られた段階的実施の減免措置以上の見直しには応じなかった。このため、会派は、国税・地方税合わせると8種類にも及ぶ税金が欠けられている自動車諸税のあり方を国に求めるとともに、道としても関係税のあり方を検討することを求めた。
 道の新年度予算編成作業は、第四回定例会後、本格化するが、難病対策、高校授業料など、未決着の課題をはじめとして、今後も論議を重ねていく。

(2)地方分権問題について
 いわゆる「道州制特区」は、会派が懸念していた通り、とん挫状態に陥っている。国の対応は、内閣府が窓口とされているものの、検討の舞台となっている経済財政諮問会議への高橋知事の出席は2回に止まり、やっと10月に設置された内閣府の「道州制特区に関する懇談会」も入り口以前の論議のみで終わり、第2回の開催のめどすら立っていない。ましてや知事が求めた、首相が主導する「道州制特区の推進組織」の設置は、検討の兆しすらない。
 第28次地方制度調査会での道州制の検討や、道外府県での道州制検討が進む中で、先頭に立っていたはずの北海道でのこの惨状は、地域や道民に足場を持たず、中央だけを見て振り回されている作業の当然の帰結とも言える。道が設置した道州制推進会議が4月以降、まったく開催されていないこと一つを見ても、道の作業のいびつさが見える。
 中央側から指摘されて大慌てで取り組まれた道内分権については、道が所管する事務・権限のうち、事務事業の約2割の195項目、権限の約5割の2、033項目が、市町村に移譲可能とする「移譲方針策定への基本的な考え方」が11月に示された。
 これに対し会派は、市町村間の広域連合、市町村から道への「逆移譲」など多様な選択肢を用意することや、移譲に際しての市町村同意、権限と財源の一体的提示のセット化を前提とすることなどを主張した。
 会派が繰り返し指摘しているように、「国−道(道州)−市町村」の姿、役割分担をしっかりと論議し、積み上げてこなかったことが、地方分権課題への対応の混乱につながっている。
 いたずらに国に振り回されることなく、道民や市町村に目を向け、腰を据えて、しっかりとした論議をやり直すことを改めて求め、論議に参加していく。

(3)道警不正会計処理・裏金問題について
 
9月の内部調査の中間報告で、不正会計処理が組織全体に、まん延していたことを認めた道警本部は、第四回定例道議会直前の、11月22日の総務常任委員会に、内部調査の「最終報告」を報告し、返還金の方針も明らかにした。
この中では、平成10年度から15年度の間に、捜査用報償費等で総額10億7、000万円の不適正執行額があったとしたが、この内訳を@捜査活動に要する経費A公費で執行可能な経費Bその他の経費、と分類、Bに相当する7億1、500万円(利子を含め9億1、600万円)を返還するとの方針を打ち出した。
 ところが、知事の要求により、同時期の10年度から15年度の特別監査を進めていた道監査委員が、12月3日に知事に提出した報告では、不適正支出が5億円あるとされた。道警内部調査で、監査委員の監査に相当する道費分の返還額は、2億円でしかなく大きなかい離が生じている。
 昨年11月下旬の疑惑発覚時の「不正はない」との強弁が、次々に突き崩され、全国の都道府県警ではじめて、組織的な不正経理を認めざるを得なくなったにも関わらず、道警の対応は尚も、誠実さに欠けている。
 不正会計処理・裏金問題の根幹的な疑惑である「私的流用」の存在は全面的に否定、道警本部、警察庁の関与なども含め、徹底的な疑惑解明と、その上に立っての抜本的な改善策を求める道民の要求には、何ら真しに応えるものとはなっていない。
 会派は、こうした疑惑解明を議会として果たしていくために、共産会派との共同提案で地方自治法100条の権限を付与する「道警の不正会計処理問題調査特別委員会」の設置を求める決議を提案したが、自民会派、公明会派などが反対に回り、一定、二定、三定に引き続き設置は否決された。
 また、一連の問題に深く関与していることが明らかになりつつある警察キャリアの責任を明確にするために、「不正会計処理に関し北海道警察本部長の厳正な処分を求める決議」を提出した。
 警察の不正会計疑惑は、全国の警察で次々に発覚しており、会派は、民主党、所属国会議員などと連携して、警察行政が国民・道民の信頼を取り戻すべく再生を果たすように、疑惑の徹底解明、実効ある再発防止策の確立に向け取り組んでいく。

 

「不正会計処理に関し北海道警察本部長の厳正な処分を求める決議(案)」は以下の通り

 本議会は、北海道警察において明らかになった不正会計処理に関わる一連の不祥事に関して、北海道公安委員会が、警察法第50条2項の規定により、国家公安委員会に対して、北海道警察本部長の辞任等の厳正な処分を行うよう勧告することを求める。
 北海道警察は、平成10年度から15年度の間に、国費・道費合わせて、総額10億9、000万円に及ぶ「不適切な」会計処理があったとの内部調査結果を報告、不正会計処理・裏金づくりが長期にわたり、組織的に続けられていたことを自ら認めるに至った。
 一方、北海道監査委員による特別監査においては、平成10年度から15年度の間の道費予算について、総額5億900万円に及ぶ不正会計処理と不正を疑わせる不適切な予算執行があったことが、明らかにされた。
 しかし、知事が、全容解明のために道監査委員に要求した特別監査に対しての、道警察の非協力的な姿勢や、不正の隠蔽目的が強く疑われる大量の公文書の亡失、廃棄が多くの部署で行われ、迅速な特別監査の実施に重大な障害を生じさせたこと等は、道民の強い批判を巻き起した。
 警察本部長は、「自らの問題は、自らの手で明らかにする」としたが、これほどの巨額な不正会計処理が行われていたにも拘わらず、問題発覚の当初において不正の存在を否定した。内部調査の指揮も的確性を欠き、内部調査報告の内容も特別監査とに大きなかい離があるなど、客観性や信頼性に欠け、信憑性を著しく疑われるものでしかない。
 道警察の内部調査や道監査委員の特別監査は、膨大な人員と多額の予算を費やし、長期間にわたり道政の停滞を招き、道警察及び道行政に対する道民の信頼を著しく傷つけた責任は極めて重大である。
 道警察最高責任者の全容解明へのリーダーシップが常に後手にまわり、社会正義の砦であるべき道警察の威信と信頼を著しく失墜させた責任は、一方的な判断による返還、減俸等を持ってして免れるものではない。
 また、道公安委員会は、本年2月、監察を指示したが、道警察の公金取扱いに関する意識や遵法精神、自浄作用の欠落等に向けられた批判は、道民からの付託を受け、第三者的な立場で道警察を管理する公安委員会に対しても同様に向けられているものであり、公安委員会は、これを厳しく受け止めなければならない。
 今回の問題が全国的にも及ぼした社会的影響と治安に対する道民不安の一掃をはかるには、道公安委員会の厳正な姿勢が求められるものであり、問題の重大さに鑑みれば、国家公安委員会と警察庁において、関係者の厳格な処分を行い、最高幹部職員の人心を一新した上での全容解明を行うことで、道警察の再生と早期の信頼回復を図らなければならない。
 道警察の不正会計処理問題の全容解明は道半ばであり、今後とも徹底した解明がなされなければならないが、ここに至る経過だけでも、警察本部長の責任は極めて重いと言わざるを得ない。
 よって、本議会は、北海道公安委員会が、警察法第50条2項の規定により、国家公安委員会に対して、警察本部長の辞任等の厳正な処分を求める勧告を行うよう求めるものである。

 

4 「教育基本法見直しの慎重な対応を求める意見書」について

意見書の提案説明には、勝部賢志(江別市)氏が立ちました。

<意見書提案説明要旨>
 私は、民主党・道民連合議員会を代表して、ただいま議題となりました意見書案第2号「教育基本法見直しの慎重な対応を求める意見書」の提案説明を行ないます。
 教育基本法は、平和主義・民主主義を掲げた日本国憲法の精神に則り、「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成」をめざして制定されました。
 教育基本法の前文には、日本国憲法の定める「民主・人権・平和」という基本原理に基づいて、個人の尊厳を維持し高めるために、子どもの人格的な成長を育む基本理念が掲げられています。
 また、「教育の機会均等」を謳った教育基本法第3条は、憲法第26条に則り、我が国の教育の基本原則として大きな役割を果たしてきました。
 このような基本理念や基本原則は、今後も尊重されなければならないものです。
 中央教育審議会は、昨年3月、教育基本法の見直しについて答申を行い、「公共」の精神、道徳心、自律心、伝統・文化の尊重、郷土や国を愛する心など、八項目の理念を新たに盛り込むことを求めています。
 しかし、先ほど申し上げたように、現行教育基本法は、その制定の経緯、前文と基本理念の普遍的内容などから、準憲法的な性格を持つ法律であり、その見直しにあたっては、憲法同様、国民的議論を経て慎重に結論を出すべきであります。
 与党教育基本法改正に関する協議会は、今年6月、19項目にわたって、教育基本法に盛り込むべき内容を中間報告しました。
 しかし、どの項目も憲法に抵触する恐れや、これまでの理念や原則を否定することにつながる内容で、多くの問題点を含んでおります。
 いくつか例を上げれば、「『郷土と国を愛する心』の涵養」については、個人の内心の自由に関わるもので、憲法19条、23条に抵触する恐れがあります。
 そもそも、愛するという感情は、個人一人ひとりの感情であり、愛さなければならないと強制されるものではありません。
 涵養とは、自然に水がしみこむように、徐々に養い育てるという意味ですが、そうであるならば、むしろ多くの子どもたちが、自然に郷土や国を愛することができる国づくりこそ、進めるべきではないでしょうか。
 また、現行の教育基本法では、教育の機会均等について「すべての国民は、等しく教育を受ける権利が与えられなければならない」となっているものを、「中間報告」では、「等しく」を削除するように提案されています。
 ここには、「これまでの教育が、ややもすれば過度の平等主義」に陥りがちであったという中央教育審議会の答申が背景にありますが、「教育の機会均等」さえも否定することになってはならないのであって、憲法26条に抵触する恐れがあります。
 加えて、エリート教育振興への傾斜が、教育の機会や学力の二極化に拍車をかけることも懸念されます。
 また、一方で、「教育の荒廃」、「深刻な教育危機」の原因が、教育基本法にあるかのような主張が見受けられますが、今日の子どもたちの様々な状況は、取りも直さず、私たち大人社会の反映だと考えるべきです。
 不正を正すことのできない大人社会、罪を認めながら全てを詳らかにしようとしない態度、政府や首相のいいかげんな答弁、一向になくならない殺人など凶悪犯罪、子どもたちを巻き込んだ事件などなど…、こういった大人社会のゆがみ、ひずみが、子どもたちの教育に大きな影響を与えているのです。
 今日の教育課題を解決するためには、教育基本法改正の検討を行なうのではなく、むしろ、教育基本法が生かされていない現実を受け止め、それぞれの課題に対する具体策を推進すべきであり、その議論も同時に深める必要があります。
 しかし、このことも含め、日本の教育の方向を変える恐れがある、教育基本法の見直しについての議論は、極めて不十分だと言わざるを得ません。
 以上のようなことから、国においては、教育基本法の見直しについて、慎重に対応することを強く要望するものであります。
 議員各位のご賛同をお願い申し上げ、提案説明といたします。